2011年7月15日、最高裁で「更新料」有効判決
更新料裁判の結果
関西地区を中心に裁判をおこなってきました更新料についての消費者契約法に違反するかどうかで争われてきた3件の事案について、先日7月15日に最高裁判所において、『更新料は原則有効』との判決が下されました。
13年4月施行の消費者契約法第10条に基づき、消費者の利益を一方的に害する更新料は無効と主張されもし無効となれば、①今後の更新料は徴収できない、②過去に受け取った更新料を返さなければならない、という賃貸経営にとっては大きな問題でした。
最高裁判所では、
①更新料は、賃料の前払いや補充、賃貸借契約を円満に継続するための対価など、複合的な性質を有すること。
②更新料については、賃貸借契約書に明記され、かつ貸主と借主との間で明確に合意がなされている場合、貸主と借主との間に情報や交渉力に格 差があるとはいえないこと。
③更新料は一部の地域のものであるが、更新料の支払をすることが存することは公知であること。
④裁判上の和解手続等においても、更新料条項が公序良俗に反して無効とする取り扱いがされてこなかったこと。
以上のことから、更新料条項は、更新料が高額過ぎないなどの特段の理由がない限り、消費者契約法第10条には違反しないと判断したのです。3件の事案について、更新料は一番高額なもので1年ごとに賃料の2.2か月分という事案もありましたが、いずれも更新料が高額すぎるとは認めませんでした。
長年にわたる慣習である更新料を有効と判断した最高裁判決ですが、これを機会に、入居者の方に礼金・敷金・更新料・共益費等の内容や詳細についてきっちり説明する必要性は高まったとも言えます。